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田辺誠一の困り顔ならずっと見ていられる

困っている顔が魅力的な人がいた。

 

なんとなく見たドラマ『とげ』の1話が面白かった、という話である。

どんな内容だったかといえば、田辺誠一がひたすら困るドラマだ。

市役所の市民相談室で働く田辺誠一が、とんでもないことを言ってくるクレーマー木の実ナナ)や、まともに働こうとしない上司や同僚、問題をたらい回しにする他部署の人間に振り回されて困った顔をする。それを楽しむドラマである。市役所で唯一まともに仕事をする気のある田辺誠一には次々とやっかいな苦情が舞い込んでくるが、そのたびにいろんなパターンの困った顔が見れるのだ。困った顔のバリエーションが豊かなので、まったく飽きずに見ていられる。

 

視聴者は、真面目な田辺誠一が理不尽なことを言われる姿を見続けることになるので、どんどんストレスがたまっていく。それぞれの苦情や事件が実はうらで繋がっていたり、画期的な方法を思いついて解決したりという展開はない。田辺誠一がひたすらに困るだけだ。愛おしい。

 

そんな田辺誠一が、唯一反撃するシーンがあった。いいぞいいぞ。『ごくせん』でも『ショムニ』でも、主人公が社会の理不尽に対して啖呵を切るのが爽快だった。

しかし、田辺誠一江角マキコ仲間由紀恵のようには振舞わない。

では、何が起きたか。他部署の課長に責任を押し付けられそうになった田辺誠一が少しキレる。「ちゃんと報告書を渡しました。見なかったのはそっちじゃないですか!」ごもっともである。当たり前のことを少し大きめの声で言うだけなので、大きな感動も爽快感もない。「うん、ちゃんと言えたね」といった感じである。そこにあったのは爽快感ではなく温かい何か。がんばれ田辺誠一。負けるな田辺誠一。ほんの一時間で、僕らは田辺誠一の困った顔の虜になってしまう。

 

来週も、田辺誠一の困った顔から目が離せない。

 

tokai-tv.com

 

 

途中でちょっと不自然な展開があって気になったので、「もしかしたら尺の都合でカットしたのでは?」「原作はさらに面白いのでは?」と思い、原作が読みたくなり注文しました。

とげ (小学館文庫)

とげ (小学館文庫)

 

届くのが楽しみ。