食卓に写りこんでも恥ずかしくないキーボード
特別なメニューでなくても食卓の写真をインターネットに載せることがある。みなさんもSNSで「餃子つくった!」「今日はカレーです」のような投稿を目にしたことがあるはず。
なんてことのない日常の風景、しかしこれにはある悩み事がつきものだ。今日はそんな食卓の写真に関する悩みを解決するアイテムをつくった。
独身男性の食卓はこうなりがち
まずはこの写真を見ていただきたい。ある日の私の食卓の光景である。何か気になる点はないだろうか。
「 ギョウザの醤油ではなく焼肉のタレをかけている」「ギョウザが少し焦げている」「ギョウザをちゃんと並べた方が良い」等ご意見は多々あると思うが、注目してほしい点は別にある。「キーボードが写りこんでいる」のだ。
独身男性の8割はパソコンを見ながら食事をしているし、そのうちの9割以上が写真を撮るときに片付けるのは面倒だと感じている。あくまでも個人的な観測範囲での話ではあるが、統計的にきちんとした調査をしてもこれとほぼ差のないデータが提示されるだろう。
恥ずかしくないキーボードとはつまり
食卓の風景にキーボードが写りこむのはみっともない。ひとりでさみしくパソコンを見ながら食事をしていることがばれてしまうからだ。
帰宅してすぐにAmazonプライムビデオのページを開き3回も4回も見た内村さまぁ~ずを眺めながら遅い晩ごはんをとるのは本当にやめたほうがいい。こんな生活は早くやめたい。
そこで考えたのがこのキーボードだ。何が起きているかお分かりいただけただろうか。
それでは別の日の写真でもう一度ご覧いただこう。
奥にあるさんまの塩焼きは、本物ではなくキーボードなのだ。慧眼なる読者諸君であれば、カルボナーラにさんまの塩焼きという食べ合わせの悪さから、さんまが本物でないことに気付いただろう。
このキーボードであれば、食卓に写りこんでしまっても、いやむしろ積極的に写りこませていくことで、実際よりおかずを一品多く見せることができる。
つくりかた ~第一の失敗編~
みなさんが気になってしかたないつくりかたをご紹介しよう。これさえ読めば好きなおかずでキーボードをつくれるので、ぜひ試してみてほしい。
まったく関係ない話を書くが、「モノは試し」と言われて試すとたいていよくない感じになる気がする。
キーボードとステッカー用紙を用意する。キーボードは「アイソレーション」というキーとキーの間隔が離れたものを選ぶとステッカーを貼る際に剥がれにくくなる。貼ったときに画像が見えなくなるので必ず白いキーボードが必要になる。
キーボード選びに関してはもうひとつ大事なポイントがあるのだけど、それについては後ほど。
次に好きなおかずの画像を用意する。今回使用したさんまの塩焼きはフリー素材ではいいものが見つからなかったので、写真素材サイトから購入した。
生まれて初めて写真素材を買った。さんまの写真を買うかどうかは本当に3日ほど悩んだ。さんまが5匹買える金額なので、自分で焼いて写真を撮ったあとに食べた方がかなり得だ。
サイズを調節したものをステッカー用紙に印刷し、キーボードに貼り付ける。説明書には気泡が入らないようにタオルを巻いた定規を用意するように書いてあったが、タオルも定規も見当たらなかったのでそのまま手だけで貼り付けた。
案外うまくいったので、今後もこのスタンスで生きていこうと思う。
ステッカーを貼っただけではキーボードとして使えないので、カッターを使い一つ一つのキーを切り離していく。
プラモデルなでどいうバリのようなものがあるので、キーを取り外し、裏返してバリを切り取るという作業を延々と繰り返していく。
作業を進めて30分ほどたったころ「パキッ」と嫌な音がした。
キーが壊れた。
外したキーがはまらなくなってしまったのだ。
家電量販店で安売りしているものなら1000円以下で買えるのに、わざわざBluetooth対応の無線キーボードを買ったので2000円ちょっとするキーボードが、一度も使わないまま壊れてしまった。
実はこれ、キーボード選びの段階から間違っていたらしい。
つくりかた ~買い直しキーボード編~
新しくキーボードを買ってきた。こっちは有線で1500円くらいだったと思う。
さきほど壊したのがパンタグラフ式というもので、『キーを外すと壊れるタイプ』だったが、新しく買い直したのはメンブレン式というもので、これは『キーを外しても壊れないタイプ』である。
これがメンブレン式のキーボードの裏側だ。見ての通り折れそうな部分がない。ファイアーメンブレン、封印の剣。
買い直したキーボードはテンキーがついており、サイズが大きくなったので二分割して印刷した。これで最初に買った用紙は使い切った。ステッカー用紙もけっこう高いので、もう失敗したくない(でもタオルも定規も用意しない)。
一度目と同じように、ステッカーを貼りつけたキーボードからキーを切り出していく。キーボードのついでに買ったデザインナイフが非常に優秀で、力を入れずにさくさく切れる。体感ではカッターの5倍くらい切れ味がするどい。
おまけで買ったものが期待以上の働きをする。バーターで出演していたはずが、いつの間にか司会者にまでなっているビビる大木のような存在だ。
全てのキーを切り取るのに、たっぷり3時間はかかった。10分あればさんまが一尾焼けるとして、60匹分の塩焼きがつくれる。ちょっとした山になる量だ。
まじめに料理をしていればさんまの山ができていたはずの時間をかけて、目の前にあるのはゴミの山だ。半透明タイプのステッカーなので、キラキラしていて少しきれいである。いまさらの情報だがステッカーは半透明タイプのものをつかわないとキーボードの文字が読めなくなってしまう。
キラキラしたゴミと、買ってすぐゴミになったキーボードを乗り越えて、食卓に写りこんでも恥ずかしくないキーボードが完成した。
見よ、これが恥ずかしくない食卓だ
うえから順番にカレートースト、ハンバーグチャーハン、ギョウザである。
ここにさんまが加わったことで、より充実した食卓に見えるようになった。
キーボードを足しても食生活は改善しない
自分でいうと狙ったみたいになっちゃって嫌なんですが、なんか変なものばっかり食べてますね。記事冒頭の写真でギョウザに焼肉のタレをかけていましたが、醤油やラー油で食べるよりもずっとごはんが進んでおいしいので本当におすすめです。
苦労してつくったさんまキーボードですが、使うとステッカーが剥がれそうで怖いので、写真撮影専用になりました。