野良医者をみると草彅剛を思い出す。

インターネットをやっていると、他人の病名を辻斬りのように診断している人をみることがある。「そんなこと言うなんて脳に深刻な異常が……」「もはや〇〇病……」「〇〇傾向がある」「〇〇障害の特徴じゃん」

 

彼(彼女)たちを見て思い出すのは草彅剛が主演の『フードファイト』というドラマだ。放送されていたのは、大食いブームがあった2000年。

闇のフードファイトバトルに参加する草彅剛がとにかく飯を食うというもので、「俺の胃袋は宇宙だ!」という決めゼリフは記憶に残っている人も多いだろう。

「宇宙なら無限に食えるじゃん!」やべー、と当時小学生だった自分も夢中で観ていた。細身の身体に次々と食べものが吸い込まれていく光景には、なぜだか強烈な魅力があった。

最終回か特番だったと思う。決戦の舞台は電車。一両ごとに強敵が乗っていて、倒さなければ先に進めないというシステムだった。これ自体はテレビゲームでお馴染みなんだけど、普通は塔でやるやつだ。縦ではなく横でやるのは珍しい。

草彅剛が強敵達を次々に倒していくたびに、母がテレビに向かって何やら言い始めた。

「これだけ食べて太らないわけがない。胃下垂ねこれは」

「はいはい、この人は胃下垂

「病気よ、病気。胃下垂

胃下垂としか考えられない」

「こんなの見てたら胃下垂になっちゃうわよ」

 

なんの根拠があってそんなこというんだ。というか胃下垂ってなんだ。胃下垂だったらなんなんだ。

今思えば母はどんなに食べても太らない草彅剛がうらやましかったんだと思う。だから何かしら太らない理由がないと納得できなかった。いやまあドラマだからなんだけど、息子は夢中になって「宇宙やべー」とか言ってるし、「全部ウソさ」と言ってくれるサンプラザ中野くんは北海道にいなかった(松山千春はいた)(鈴木宗男もいた)し、どうにか見つけた理由が胃下垂だったんだろう。

 

そんなわけで、勝手に病名を診断している人を見ると、草彅剛のことを思い出す。

それとは関係ない話だけど、最近ちょっと胃下垂気味になってきた。ドラマを見ていたせいではないと思うが……。