娯楽に飢えたカンフードラゴン

北海道には2種類ある。札幌とそれ以外だ。自分はそれ以外の方で生まれて育った。

中学生の頃は、とにかく娯楽に飢えていた。

本、マンガ、ゲームは今思えばお金のかからない娯楽だったが、月1000円のこづかいでは毎週ジャンプを買っただけで全額消えてしまう。

無料でいくらでも楽しめる娯楽としてインターネットにはまり、親の目を盗んでパソコンを起動させオカルト板で延々とウミガメのスープに興じることになるのは、もう少し先になる。

テレビでも見ていればよかったのだけど、祖父、父、母、姉、弟とチャンネル争いをする気力はなかった。そこで目をつけたのはラジオだ。

ちょうど母が新しいプレーヤーを買ったので、古いラジカセが一台余っていた。カセットテープとCDが聞ける青いラジカセ。

部屋に持ち込んで周波数を合わせる。音楽にはあまり興味がなかったので、面白い話が聞きたい。AMだと、HBCラジオSTVラジオだ。新聞にはテレビだけじゃなくてラジオの放送スケジュールも載っていると知ったのはもう少しあとのことで、最初はただ流しっぱなしにしていた。

なんだかよくわからない人が話をしていて、なんだかよくわからないけど面白い。テレビだと「連ドラ主演の〇〇さん」「例の事件で話題の〇〇さん」「金メダリストの〇〇さん」と必ず肩書きが紹介されるので、誰かもわからない人の話を数十分も聞き続けるのはラジオならではの体験だ。

そうやって、なんとなく聞いているうちに好きな番組もできてくる。

今でも覚えているのは、ラジオの魂『ラジ魂(こん)』という番組だ。トムとシュンジという二人組がパーソナリティだったが、彼らが何者かはわからない。

会話の様子から、トムの方が年上だとわかる。彼の口から「シュンジは好きな女の子を口説くためにバンドをつくった」という発言を何度も聞いた。シュンジはどうやらミュージシャンらしい。

知りたければもっと詳しく調べることもできただろうに、結局よくわからないまま聞いていた。ラジオから流れてくるトークが面白ければ、何者でもよかったのだ。結局、中学高校の4~5年くらい、上京してHBCラジオが受信できなくなるまで聞き続けていた。

あれから十数年経った今でも『ラジ魂』は続いているらしい。

番組でよくかかっていた曲があって、それが好きだった。パーソナリティの大俊治さんのバンド、ロミオマシーン「カンフードラゴン」。

YouTubeにライブの映像があった。コール&レスポンスをしようとしているものの、コール10に対してレスポンス2くらいの反応でソワソワしてしまう。そうだ、こういう人だった。何者かはあまり知らないけど、俺はこの人をよく知っている。

 

 


「カンフードラゴン」 ROMIOMACHINE