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寿司の靴「スシーカー」で歩いたら、世界は寿司で満ちていた

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 寿司の靴「スシーカー」で歩いたら、世界は寿司で満ちていた

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寿司さえあればもう幸せ。

 

寿司が寿司だ(好きだ)。

日本に生まれたなら、いや日本に生まれなくても一度食べれば誰でも虜になる魅力を備えた食べ物。それが寿司だ。できることなら毎日食べたい。叶わないならせめて身につけたい。
ということで、寿司のスニーカー、「スシーカー」をつくって街を歩いてみた。



寿司の靴をつくる

今まで履いていた靴が汚れてきたので、新しい靴を探して靴屋を回っていたのだが、なかなかいい靴が見つからない。履いていたのは靴全体に猫がちりばめられた靴で、これはかなり気に入っていた。
今回も似たようなデザインの靴を探していたのだが、靴屋を5軒ほど回った後に、ふと真っ白な靴が目に入った。

 

 

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真っ白な靴を見つけた瞬間「描けばいいのでは」という考えが脳裏によぎった。

 

 

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価格が決め手になった。

 

欲しいものがないのなら自分でつくってしまえばいい。
幸い絵を描くのは苦手ではないし、990円なら仮に失敗したとしてもそれほど懐は痛まない。靴に自分で絵を描こう。題材は猫の次に好きな寿司にすることに。寿司と決めた直後に「寿司のスニーカー……スシーカーじゃん」と思い付き妙に楽しくなる。

うきうき気分で購入し帰宅した。

 

 

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真っ白なままだと学校指定の上履きに見えなくもない。

 

たまに寿司の写真を確認しながら布用のペンで、なるべく色んなネタを描く。

 

 

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たまご、マグロ、いくら、えび、さば、たこ。

 

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サーモン、いくら、鉄火巻、まぐろ、たこ、たまご。

 

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あとで画像を見返して寿司の「寿」の字を間違えていたことに気付いた。一本足りない。

 

かかとには「寿司」の文字を描いた。特攻服のようなアピール具合だ。
この時点で家族に写真を送ってみたら姉に好評で「欲しい」と返信があったが、母からの返信はまだない。お母さん、お返事待ってます。

 

色を塗る

色がないと何のネタかわからないし、サーモンとマグロなんて描いた自分でも判別できなくなりそうだし、なにより物足りない。ここから着色の作業に入る。

  

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まさか靴本体よりペンの方が高くつくとは……。


近所のスーパーの文具売り場でペンを購入。1本200円だったので回転寿しでなら本物の寿司が食べられる値段になってしまった。食べるなら漬けマグロがいい。

 

 

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高校の美術部で油絵をやっていたプライドにかけて。

まず陰影をつけるため明るいピンク色から。きちんと影もつけてそれらしく仕上げたい。まぐろとサーモン、えびをピンクに塗る。

 

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サーモンはマグロよりもピンク多め。

 

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「おいしくなあれ」と願いを込めて寿司を塗る。

 

次に赤色を塗る。いくらとまぐろ本体、それとサーモンの影の部分だ。

赤を入れるといくらにいくら感が出てきた。まぐろもかなりまぐろらしさがでてきた。やっぱり寿司は赤だ。赤いものはすべて寿司なのかもしれない(ここがのちに重要になります)。

 

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たまごを塗るためだけに買った黄色いペン。

 

たまごを黄色で塗ると、かなり色が映える。普段寿司を食べるときは子供の食べ物だと侮っていたが、寿司というグループの中では、彩りという大事な役割を果たしていたようだ。スマップでいうなら中居くんだろう。


 

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いくらのテカリがうまくいったのでお気に入り。

 

仕上げにシャリを修正液で白く塗り、えびとサーモン、まぐろのテカリ部分にも白色を入れる。サーモンはまぐろに比べてテカリ多めで油っぽく。これでまぐろとサーモンの判別がつく。

 

 

本物と比較してみる 

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近所のコンビニに置いてなかったので歩いてスーパーまで行った。

 

せっかくなので本物の寿司と並べてみようと思い。スーパー内の寿司売り場で寿司を購入。靴に描いたものとなるべく同じネタのある寿司パックを選ぶ。

 

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スシーカーと寿司。ご本人登場っぽさがある。

 

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鉄火巻の完成度に惚れ惚れ。

本物と並べても遜色ない寿司になったのではないか。モノマネ芸人でいえばミラクル光だ。

寿司を食べながら母に「誕生日にあげるよ」と聞いたら、すぐに「いらない」と返ってきた。

 

スシーカーを履いて街を歩く

スシーカーを履いて外に出る。寿司を履き、街へ出よう。

歩いていると、今まで素通りしていた場所でも寿司らしきものが目に付いた。

 

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壁のデザインも海を連想させる。

 

エスカレーターの手すりと回転寿司のレーンって似てるな、と思ったのが始まりだった。すべてが寿司になる。

以降は街で見つけた寿司っぽいものを紹介しよう。 

 

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「逆鉄火巻だ!」とはしゃいで撮った一枚。

 

 

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柵の上にシャリが乗ってる!

 

 

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鉄火巻がぐるぐる回る。これはもう回転寿司のレーンだぞ。

 

移動に大江戸線を使ったのだが、これが寿司と相性が良かった。路線図の配色が赤だったのが大きい。白色の上に赤があれば、もう全部寿司にしか見えない。

つまり大江戸線は寿司なのだ! 江戸だもの。

寿司を身につけると視点まで変わった。今の私は寿司に飢えた板前だ。見るものすべてが寿司に見える。

 

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たまご! しかもたくさん!

 

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フグ! 魚! 魚は寿司だ! 

 

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これは本当に寿司だ。

 

f:id:nottawashi:20151202003942j:plain社章を見て「寿司みたいな看板!」と思って撮ったが今では何が寿司なのかよくわからない。

 

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「寿司に見える」というか、魚そのもの。

 

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「24=スシ」つまり一日は寿司である。

 

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緑(バラン)白(シャリ)赤(マグロ)!

 

嬉々として居酒屋の看板を撮っていると、撮影を手伝ってもらっていた同行者が怪訝そうな顔をした。
「えっ、それなんで撮るの?」
「寿司に見えない?」
「どういうこと?」
「いや、だって白はシャリだし赤はネタでしょ」
「緑は?」
「バラン」
「でもこれイタリアの国旗じゃん」との会話を経て、最終的に「つまりイタリアは寿司なのでは?」という説が飛び出した。イタリアは寿司。これは大発見だ。

 

 

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これも色合いが寿司じゃないか!

 

 

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色の比率まで完璧な寿司だ!

 

 「あれも!」「これも!」とずいぶんたくさん写真を撮ったが、あとで見返してみるとどこに寿司を感じたのかわからないものも多い。あれはスシーカーを履いている間だけ見える特別なものだったのだろうか。

寿司は寿司を求める人間にしか出会えない、妖精のようなものなのかもしれない。

 

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シャリからネタが若干浮いているが、もうまぐろの握りにしか見えない。

 

 


 

世界は寿司で満ちている

ここまで寿司のことを考えた日はない。

この靴は今後も履くと決めた。
他にもスシックス(ソックス)や、スシーフ(スカーフ)などをつくって全身寿司まみれになって生活したい。寿司柄のアロハもいいかも。
寿司に限らずいつもと身に着けるものを変えるだけで、見慣れた風景も違って見えてくる。オシャレとはそういうものかもしれない。

 

 

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履き始めて三日目で職場の人に「変な靴履いてる人と並んで歩きたくない」と言われた。

 


企画・製作    :辰野衣子

編集・撮影協力  :能登たわし